
何度もブログに書いていますが、スギのように症状が出る季節が決まっているアレルギーは、原因の花粉が飛ぶ二週間前あるいは症状が出てきたころに治療を始めると、症状が軽くなる、症状が出る時期が短くなる、ステロイドを使う量が減ることが知られていて、「初期療法」と呼ばれています。
なぜ早めの治療が効くのかいくつか説があります。
1 Minimal persistent inflammation
本格的な症状が出る前に花粉に触れることで炎症が出ることが知られています。少量の花粉はシーズン前にも飛んでいますので、その時期のアレルギーを早めの治療でおさえるとその後も効果的と考えられています。
2 Priming effect
いったん症状が出てしまうと、少ない花粉でも症状が出やすくなるため、早めの時期の症状を抑えることが勧められています。
3 Inverse agonist
かゆみの症状を起こすヒスタミンはH1受容体に結合して作用します。この受容体は活性型と非活性型があります。抗ヒスタミン薬の中でニュートラルアゴニストと呼ばれるものは受容体に結合後活性と非活性のバランスは変えないのですが、インバースアゴニストと呼ばれる抗ヒスタミン薬は非活性型を増やします。非活性型が増えると受容体からのシグナルが減り、結果として受容体そのものが減っていき、ヒスタミンがないときでもアレルギーに対する反応を抑制できるとされています。インバースアゴニスト作用を持つ薬を花粉が飛ぶ前から使うと、受容体を減らすことができる(「かゆみスイッチを減らす」とアレルギー専門の深川先生はよく言ってます。)ので、早めの治療が勧められています。点眼と内服の両方があるアレジオンは通常のアゴニスト作用とインバースアゴニスト作用の両方の作用を持っています。
私自身も花粉症がありますが、日記などをチェックしてみると大体1月25日ころに目のかゆみを感じて点眼治療を始めています。初期療法は1月末よりが推奨されていますので、もう治療を始める時期です。


