黄斑円孔とは文字通り網膜中心部の視力に大事な黄斑部に穴があくことです。10万人に8人程度の発症で、50-70代に多くみられます。好発年齢からもわかるように、加齢による変化がきっかけとして起こることがほとんどです。
眼球の中には硝子体(しょうしたい)と呼ばれるゼリー状のものが入っています。子供のころには眼球内にぴっちりとこのゼリーがつまっているのですが、年齢とともに縮んでいき、ときに接着している網膜部分をひっぱってしまい穴を作ることがあります。


写真は円孔の起きた右眼と同じ患者さんの左眼のOCT画像です。正常な左は真ん中がくぼんでいるきれいな層構造が見られ、円孔の起きている右眼は真ん中の層がなくなり穴となっています。蓋のような部分に硝子体が接着しているのも見えています。
症状は「ゆがむ」「真ん中をつまんだように見える」という訴えで受診されます。
ステージ1a: 黄斑がひっぱられ網膜内に嚢胞ができる。
ステージ1b: 部分的に網膜剥離が起きる。
ステージ2: 嚢胞が大きくなり、一部が破れて弁のようになる。
ステージ3: 弁が分離して蓋のようになり、円孔が完成する。
ステージ4: 蓋は消え、硝子体がひっぱる力もなくなり、円孔周囲の網膜浮腫がなくなる。
ステージ1はときに自然治癒することもあるので経過観察となりますが、ステージ2以上、視力低下のある1b、経過の長い1aは手術を行います。
5年以内にもう片方の眼に起きる確率が15-20%なので、手術後も両眼の経過観察が必要です。OCTがなかった時代には早期発見も難しかったのですが、現在は経過も簡単に追えるようになりました。
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みさき眼科クリニック@代々木上原