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みさき眼科クリニック@代々木上原

小児の近視進行予防

成長期である8歳から16歳までが近視の進行時期です。そのときに進行を止められないだろうか、という研究がいくつかあります。

近視が進行する理由として考えられているものは
 1) カメラのフィルムにあたる網膜の中心部にピントが合わない状態(網膜より後ろに結像する状態。
 2) 眼球が球体のため、中心部網膜にピントがあっているときでも周辺部網膜における像のぼけ(軸外収差)が生じる状態。
というものがあります。

1)については、累進屈折力レンズ(MCレンズ)がすでに販売されています。近視眼ではピントを合わせる力が弱いため、近くを見る作業時に遠視性のぼけを生じ近視化するという理論のもと、このぼけを生じさせないようにする一種の遠近両用レンズです。
2)については、周辺部網膜における像のぼけを抑制する設計の軸外収差補正眼鏡とコンタクトレンズがありますが、メガネは日本では効果を証明できていないのと、コンタクトのほうはまだ研究の段階で実際に使うことができません。
 オルソケラトロジーレンズという寝ている間につけて近視を矯正する特殊なコンタクトレンズには、軸外収差を補正する効果があるので近視の進行抑制治療として使うこともあります。一番効果があるのが8歳からの使用なのですが(12歳から使用しても効果が少ない。)、このレンズは未成年には厚生労働省の認可がおりていないため、近視の治療として使うには難しそうです。

 低濃度アトロピン点眼と、太陽光を浴びる戸外活動は、網膜のアマクリン細胞への作用により近視進行抑制が起きると考えられています。アジアの国々では点眼処方そして外光を取り入れる教室設計などがされているそうです。
 
現在通常の外来で近視進行抑制として患者さんにお勧めできるのは、MCレンズの処方、戸外活動そして近見作業の間に休みを入れる、ということぐらいでしょう。当院ではMCレンズのメガネ処方と低濃度アトロピン治療を行っていますが、保護者の多くは「近視を治す」治療と誤解されています。進行を抑制できるかもしれない治療であること、そして多くの方が期待しているほどの効果は残念ながらありません。

Byみさき眼科クリニック@代々木上原

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