みさき眼科クリニック@代々木上原

子どもの近視の進行を止める

近視の子どもが多いアジアでは、その進行を止める治療法の研究がいろいろ報告されています。

1 薬剤による治療
アトロピン点眼が近視進行抑制に効果があることはわかっていましたが、通常の1%濃度では瞳が開いてしまい近くが見えない、まぶしい、ということで実用的ではありません。そして点眼をやめると、治療していないときと同じ進行度合いになってしまうリバウンドがあることも報告されています。0.01%という薄い濃度にすると、近視進行は1%アトロピンとほぼ同じ効果があり、瞳も開かない、またリバウンドもない、という良いデータがシンガポールのグループから報告されています。眼球が大きくなると近視になり、これをアトロピンが抑制するからではないか、と考えられています。
「仮性近視」の治療薬とされているミドリンMあるいはサンドールMの点眼を使っていても近視の進行抑制には効果がないことはわかっているため、当院では子どもの近視治療薬としては処方していません。手元にピントを合わせる筋肉を休める効果があるので、成人の眼精疲労に処方しています。

2 光学的治療
カメラのフィルムにあたる網膜全部に焦点があっていると近視は進行しない、というデータがあります。手元を見るときにピントを合わせきれない状態が生じ、それに合わせて目がのびる、また眼球が平面ではないために中心部分以外ではピントがぼけ、それに合わせて目がのびる、と言われています。目がのびて大きくなると近視になります。
このピントを合わせる方法として現在報告があるのは、累進屈折メガネ(遠近両用メガネと思っていただいて良いかと思います。)、軸外収差抑制メガネ(上下だけでなく全方向に遠近となっていると思ってください。)、オルソケラトロジー(就寝時につける近視矯正のコンタクトレンズ)、遠近両用コンタクトレンズなどです。ただしほとんどのデータは2年継続という短い期間であるのと、軸外収差抑制レンズの中国でのデータは両親が近視という限られた症例で効果があり、というものです。そしてどの報告も抑制できるパーセントとしては11-65%であり、100%完全に進行が抑制されているわけではありません。統計では差が出ていても、臨床的に近視進行が抑制できている、というような結果になっていません。

なぜ眼鏡やコンタクトレンズなどによる光学的な治療方法があまり効果を上げないのか、ということに関してはFlitcroftという人が一つの考えを提唱しているそうです。屋外で景色を見ているときにヒトの目はだいたい0からプラス1Dの間でピント合わせをしていますが、屋内での作業中は-3D(ちょっと離れた距離)から+3D(手元)という焦点ぼけが生じています。また子どもで顔を傾けて読み書きしていると、横方向にも焦点ぼけが生じます。これらすべてにピントを合わせるような眼鏡、コンタクトレンズは不可能なので、それが治療の限界のようです。

治療効果に限界はありますが、当院でも0.01%アトロピン点眼による治療と、累進屈折メガネ(通称MCレンズ)の処方を行っています。

Byみさき眼科クリニック@代々木上原

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