みさき眼科クリニック@代々木上原

目の表面のムチン

ムチンは目の表面を守る粘液ですが、このムチンを作るGoblet(ゴブレット)細胞(杯細胞とも呼ばれます。)は、結膜全体にあります。写真は上まぶたをひっくりかえして見せていますが、上下のまぶたを覆う瞼(けん)結膜(灰色で塗ったところ)、白目を覆う球結膜(白色で塗ったところ)は連続して目の表面をカバーしています。

000131680 0001316802020e382b3e38394e383bc





まばたきは涙を目の表面に広げるとともに、目の表面をこすって新陳代謝を促していますが、ムチンがないと摩擦が大きくなりスムーズにまばたきができません。いわばムチンはまばたきの潤滑油でもあるわけです。ムチンが足りないドライアイの場合、摩擦が増えてしまいゴロゴロする感じになってしまいます。最近話題のドライアイ治療点眼薬「ジクアス」「ムコスタ」は目の表面を守っている粘液であるムチンを増やすことで治療効果が出ます。

Lwe
瞼結膜の皮膚側に近い部分はLid Wiperと呼ばれる一番目の表面と摩擦が多いところです。ときにここが角化して固くなってしまい、目の表面をこすってしまうため異物感が出る「Lid Wiper Epitheliopathy」という病気があります。写真はその病気の方ですが、本来染まらない瞼の縁が紫色になっているのがわかると思います。ここが目の表面をこすっているわけです。(この病気はソフトコンタクトレンズを使う方、そして上まぶたに起きることが多いのですが、この方は下まぶたでした。)


最近出た論文で、このLid wiper部分にはゴブレット細胞が分泌腺のように管状構造を作っていることが報告されています。(Cornea 31(6):668-79, 2012)一番摩擦の多いところに摩擦を少なくするためのムチンを分泌する細胞が集まっているのは非常に理にかなっています。ワイパーを動かすときに水が出るとガラスがきれいになりますが、Lid wiper部分のムチン分泌は車のワイパーの水にあたります、と京都府立の横井先生は話していました。Lid Wiper Epitheliopathyでは水なしワイパーになってしまっているので、ゴロゴロする感じが出てしまうわけです。と考えると、ジクアスやムコスタ点眼の効果が出るのもよくわかりますね。


眼科医でもドライアイを専門としていないと、かなりマニアックな話でありますが、新しい薬が出る、いままでわかっていなかった病気のしくみがわかる、というのは勉強していて楽しくなります。

Byみさき眼科クリニック@代々木上原



スポンサーサイト

PageTop